映画『そして、バトンは渡された』レビュー

瀬尾まいこ著の『そして、バトンは渡された』が映画化された作品

 

点数で言えば、8.5/10くらい

 

本を読んでから映画を見た身として、映画にすることの難しさと映画の良さの両面を実感した作品

 

本には本の良さ、映画には映画の良さがしっかりとある

 

正直なことを言えば、個人的には本の方が好きである

 

だが、普段本を読まない人は映画を見てほしい

 

映画が駄作なことはなく、むしろ傑作

 

本と映画でレベルの高い勝負をしている作品だと思います

 

【一言コメント】

泣ける映画を求めてるのなら見るべき

 

単純に泣けるってのもあるけど、家族の形、娘や息子との接し方を考えさせられるし、何より「バトンの渡し方」に想いがこもっていて涙が出る

 

学んだり考えたりもできる作品で、心を揺さぶる作品だと思う

 

【あらすじ(ネタバレなし)】

主人公は森宮優子という、訳あって苗字が4回も変わった女性

 

幼少期から高校生になるまで親が何度もかわってしまった

 

それぞれの親から受けた愛情、繰り返される親の変化を通じて森宮優子は成長していく

 

そして、森宮優子が結婚するとき、育ててくれた親たちに再び会いに行くことになるが、そこで親たちがついてきた愛情の嘘が明らかになる

 

【感想】

冒頭にも書いたが、自分は原作の本のほうが好きである

 

だが、映画が良くなかったわけではなく、たまたま本が少しだけ優れていたというだけのことだ

 

原作と映画には少しだけストーリーに違いがある

 

原作全てを2時間程度の映像に落とし込むことは無理なので、伝えたいストーリーのテーマを伝わりやすく、心が動くように映像化する必要がある

 

この作品はそのレベルが高いと思う

 

本を読んだ身からすれば、そこ原作と違うなぁとか思うけど、それはそれでいい味が出てると思える作品であった

 

アニメとかではよくある話で、原作の方が良かった、映画にするのは違う、みたいな意見を聞くが、この作品については原作も映画も正解である

 

どちらを先に楽しむか論争はよくあると思う

 

個人的には、本を読んでからがいい気がする

 

細かい描写によって、登場する人物の性格が細かく把握できる上に、脳内で自分が思い描いたシーンを楽しむことができる

 

そして、映画を見ることで思い浮かべたシーンと映画の差を楽しみつつ、ストーリーの違いも楽しめる

 

映画だけだと、どこか人物の性格を把握するには情報が物足りなく感じてしまうと思うので、より感情移入し、登場人物の心情を推察するには本を読んでからの方がいい気がした

 

まぁこれは好みの話

 

本は普段読まない人にとってはそこそこ時間がかかってしまうし、映画でも十分楽しめる作品なので、気にするほどでもない

 

内容についても、自分の哲学を揺さぶるテーマがあってよかった

 

家族の形とか、子どもにどんな影響があって、どうやって成長して、どうやって愛情を表現して、みたいなことを色々考えさせられる

 

正解はないと思うけど、自分の中の正解は作れる

 

理想の父親像があって、それを体現しようとしてる人がそこにいて、失敗や愛情が見えて、家族や親子という関係の難しさや幸せを感じる

 

御涙頂戴っぽさのある映画ながら、ちゃんと学ぶ部分もあるのが良い映画たる所以な気がする

 

良い映画に出会えました