『元彼の遺言状』読了

一言で言えば、ミステリーっぽさのないミステリーだ

 

いやミステリーと断言するには謎解き要素が強くない気にもなる

 

トリックが秀逸だとか、どんでん返しがあるだとか、よくあるミステリーとは少し違う

 

言ってしまえば、論理で詰めれば正しく推理ができて、真実にもちゃんと辿り着けると思う

 

まぁ、実際にそれができるかと言われたら別だが

 

なんというか、現実味のある世界線で、現実味のある推理ができ、現実味のある事実が浮き上がる作品だ

 

主人公が弁護士であることも関係しているように思う

 

簡単なあらすじを紹介しよう

 

弁護士の元カレが死亡し、犯人には自分の資産を差し上げるという趣旨の遺言が見つかる

 

金欲しさにクライアントを殺人犯に仕立て上げるという案件を担当することで、間接的にその事件に関わることになるが、

 

本当は誰が殺した?

 

そもそも殺人なのか?

 

といった謎が浮き彫りになり、探ることになる

 

元は誰が犯人だろうと、自分のクライアントが殺人犯として認定されればいいのだが、話はそう簡単に行くものでもない

 

利害関係、人間関係を元に真実を探っていく

 

金に執着していた主人公の弁護士は、金よりも大事な何かに気づき、それがきっかけに、、、

 

とまぁこんな感じだ

 

読んで思ったことは、無駄がない小説だなということだ

 

繋がらなそうな人間関係、情報、細かい一言がどこかで繋がり、ひとつの真実に辿り着く

 

読んでいて飽きない作品だなと思う

 

また、金に目がない弁護士が主人公ということもあり、かなり頭のキレる推理がされていて、読んでいてテンポも良い

 

内容、描写の秀逸さが相まって、読みやすくも驚きを与える作品だった

 

ただ、個人的な好みである壮大などんでん返しや伏線回収とは別の面白さということもあって、超高得点という評価にはしないでおく

 

8.5/10くらいだろうか

 

十分におすすめできる、おすすめしたい作品だ