『アリス殺し』読了

作品のコメントを問われたら、トリックはわかっても真実を見抜けなかった作品と言うだろう

 

この作品は世界観が特徴的で、特徴的な世界を活かしたトリックが魅力の作品だった

 

ネタバレなしの設定と軽いあらすじを説明する

 

主人公の栗栖川亜理は、不思議の国に迷い込んだアリスの夢をみる

 

その夢では異様な殺害事件が起こり、時を同じくして現実でも不審死が相次ぐ

 

夢の世界ではアリスが犯人と決めつけられ、処刑される可能性が出てきた

 

夢で処刑されたら、現実ではどうなるのか?

 

謎に満ちた夢と不可解な不審死に巻き込まれた栗栖川亜理は死を回避できるのか

 

と言ったあらすじとなっている

 

何かと夢でも現実でも死が訪れる話だが、その描写はやけにリアルでグロテスクだったのが印象的である

 

また、栗栖川亜理が死なないために、彼女は夢と現実でどんな行動を取るのかが見ものだ

 

そして最大の面白いポイントは、夢と現実の2世界で繋がりの見えない謎解きをしつつ、所々で見える繋がりをもとにひとつの真実を探るという構成だ

 

この世界観を生かした構成によって読む者は騙されるのだ

 

おそらく全員が読んでるうちに

「はいはい、作者はこうやって俺らを騙そうとしてんだな、わかってるんだぞ」

なんて得意げになると思う

 

でも確実にみんなその得意げな顔を嘲笑われることになると自信を持って言いたい

 

当の自分もしっかりと騙された

 

作者が読者の2手くらい上を行ってるなと言える作品だ

 

ひとつマイナス点を言うのであれば、真実はわからずも読者の騙し方がわかりやすかったこともあり、どんでん返しの衝撃度は少し減ることくらいか

 

まとめると、10点満点中8点くらいと思う

 

マイナスを感じさせない高得点だ

 

シリーズ物で他作品もあるらしいので読んでみようと思う